吸入薬指導の際「吸入薬をうまく吸えない」と相談されることがあります。
そこで効率よく吸入するために編み出されたのが「ホー吸入」です。
「ホー吸入」の説明を行う前に喘息の疾患、吸入薬の種類から確認しましょう。
喘息を疑う症状とは?
喘息の診断は、胸部X線検査で呼吸器疾患の存在を除外した上で呼吸機能検査やアレルギー検査など行い確定診断を行います。
「喘息診療実践ガイドライン」では呼吸器非専門医が喘息症状を捉えて診断する方法として、下記表の問診チェックリストが示されています。1)
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「喘鳴、咳嗽、喀痰、息苦しさ、胸痛」の中で一つ以上あるか。これに加えて小項目として、症状と背景因子の中で一つ以上あれば、喘息を疑うことになっています。これは、喘息のさまざまなエビデンスの集積結果から成り立っています。2)
チェックリストから喘息の疑いと診断された場合は、診断アルゴリズム(図1)に沿って、中容量以上の吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroids:ICS)および長時間作用性β2刺激薬(long action β2agonist:LABA)による治療を3日以上行います。
この治療によって症状が改善され、吸入前にヒューヒューゼーゼーというという喘鳴があれば喘息の診断が確定となります。吸入前が喘鳴がない場合でも、ステップダウンをすると症状の再現性があれば、喘息と診断します。
吸入薬の種類と特徴について
吸入薬は大きく分けて3種類の形態があり、お薬によってデバイス(吸入器具)が異なります。
DPI:dry powder inhaler(ドライパウダー吸入器)
お薬は粉末状になります。息を吸うことでお薬が供給されるため、しっかりと深く吸入する必要がありますが、後述するpMDIのようにタイミングを合わせる必要はありません。
pMDI:pressurized metered-dose inhaler(加圧式定量噴霧吸入器)
ボンベの底を押すと、1回分の吸入薬がエアゾール(霧状のガス)として噴霧されるタイプです。噴霧ガスとしてエタノールが使用されています。吸入する力が弱い方でも使用できますが、タイミングよく息を吸いながらボタンを押す必要があります。
SMI:soft mist inhaler(ソフトミスト吸入器)
噴霧ボタンを押すと、1回分の吸入薬がエアゾールとして噴霧されるタイプです。pMDIとは違い、吸入ガスは使用しません。
吸入薬を正しく吸えている?
ここまで喘息の基礎知識、吸入薬を確認しました。喘息の基本的に吸入薬の使用となりますが、世界の喘息患者のおおよそ8割が正しく使用できていないことが判明しています。3)
ぜんそくの専門医が生み出した「ホー吸入」。何も意識しない通常の吸入では、舌が邪魔をして薬の45%しか気道に届かないのに対し、「ホー」と言ってから薬を吸うと、薬の75%が気道に届くことが判明しています。
ホー吸入の方法
①舌の両端を丸め、空気の通り道を作るイメージで「ホー」と言いながら息を吐く。
②息を吐き終わったら、舌はそのままの状態で吸入器をくわえ薬を吸い込む。
喘息のコントロール不良な患者に対してホー吸入の指導を行うことで、症状が改善することがあります。
薬剤師の職能を発揮できる大切な場面になりますので、現場で働く薬剤師、看護師さんは患者さんへの指導時に活用して頂けると嬉しいです。!
ここまでご覧いただきありがとうございます。これまでの投稿もぜひ見てださい。ではでは〜!
1)喘息診療実践ガイドライン2023
2)ファーマスタイル2023/No39
3)全国健康保険協会 「吸入の効果が劇的アップ!「ホー吸入」」