芍薬甘草湯はなぜこむら返りに効果がある?

くすりのはなし

芍薬甘草湯は、こむら返りや筋肉の痙攣の症状を和らげることで知られており、こむら返りで患者さんによく処方されるお薬です。この記事では、芍薬甘草湯がなぜこむら返りの作用機序、さらになぜ効果が早く現れるのかについて詳しく説明します。



こむら返りとは、筋肉が過剰に収縮してしまうことで、局所的に痛みが発生する現象です。 運動神経から筋肉に「収縮」する指令が伝わると、筋肉組織の細胞の中に カルシウムイオン(Ca2+)が入り込み、細胞の外にカリウムイオン(K+)が流出します。 この流入と流出で電位に差がでることで筋繊維が興奮して筋肉が収縮します。 足のつり(こむら返り)は、何らかの原因で神経からの「収縮」の指令が過剰に伝えられることで 起こると考えられています。1)

芍薬甘草湯の効能効果は、「急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、 腹痛」2)です。芍薬甘草湯は、2種類の生薬 「芍薬」と「甘草」によって構成され、この2種類の生薬の相互的な働きで、筋肉組織細胞のイオンバランスを正常にすることで、過剰な神経伝達を遮断し、筋肉の過剰な収縮を抑え、足のつりを改善します。

芍薬甘草湯は、「芍薬」と「甘草」には、鎮痛作用と筋弛緩作用を有しており、芍薬に含まれるペオニフロリンという成分は、筋肉が収縮するために必要なCa2+の細胞内流入を抑制し、結果として筋肉の収縮を抑えると考えられています。さらに、甘草に含まれるグリチルリチン酸は、K+の細胞外流出を促進することで神経筋シナプスのアセチルコリン受容体を抑制し、結果として筋弛緩作用を発現すると考えられています。インタビューフォームでは、最高血中濃度到達時間(Tmax)は「該当資料なし」となっていますが、ペオニフロリンのTmaxが5minですので、実際の効果と類似した値となっています。

今回の記事は、患者さんから「芍薬甘草湯ってなんでこむら返りに効果があるの?」との質問されることで、自分があまり芍薬甘草湯の作用機序を理解できていなかったなと思い作用機序や特徴をまとめてみました。 薬剤師・看護師さんが日々の臨床で役立てて頂けると嬉しいです。

では、次の投稿も見てくださいね。ではでは〜!

1)小林製薬株式会社 コムレケア
2)ツムラ芍薬甘草湯 添付文書

タイトルとURLをコピーしました